読むこと話すこと、それから聞くこと(2)

Bookworm: Words Meeting at Johnbull
2004年5月30日(日)午後2時30分〜8時 東京・原宿Johnbull 3Fにて


3月28日に初めて行ったBookwormイベント、前回は終わりの方の1時間くらいしか聞けませんでしたが、今回は早めに到着。ちょうど主宰者の一人である青柳拓次さんがマイクの前にすわって話しているところでした。Bookwormは、ミュージシャンの青柳拓次さんと山崎円城さんが主宰するリーディングイベントで、隔月、月末の日曜日の午後、原宿の同じ会場で行なわれているものです。「好きなものを読み、好きなことを語る」のがコンセプトで、当日エントリー方式で一人持ち時間10分の枠で、だれでも参加することができます。

前回行ったときは、ちょうどBookwormイベント6周年だったそうですが、名前を呼ばれると次々にマイクの前に行って読んだり、話したりする様子は、今回ととくに変わったことはなく、30人前後の人々が、休憩などで出たり入ったりで入れ代りながらもだいたいそれくらいの人数の人が、気ままに好きな場所にすわって耳をかたむけていました。

5月30日は外は30度を超えているかと思わせる夏日の陽気で、日曜日ですから、原宿のストリートは若者たちでいっぱい。そんな一角にあるJohnbullというファッションのお店のビルの3階のバーのようなスペースで、このイベントは行なわれています。といっても、あるのはバーカウンターと数個のハイチェア、だからほとんどの人は床に座っています。あとは読む人のためのイスとテーブルとマイク、その後ろにスピーカー。そしてその後ろのガラス窓には夏の強い陽射しがさんさんと降りそそぎ、休憩時間にはビール片手にあるいはスモーカーたちがたむろするバルコニーが見えています。多少のアルコールはあったとしても、陽の降りそそぐ日曜日のまっぴるまに、詩のリーディングをやるとは、なんとあっぱれなことでしょう。

ここでは、好きな本や詩を手に、あるいは自作の詩や文章を読んだりそれについて話したりするほか、自分の最近体験したことや考えていることを話したり、ときにギターなどを持ち込んで歌う人もいます。持ち時間10分まで、という枠の中で、いちばんやりたいことをやります。作品を読むことと話をすることの間に、大きなへだたりはないようで、発表するものがたまたま自作か、人のものか、あるいは頭の中にあることか、くらいの違いのような感じで、読まれ話されます。リーディングのときに、バックにCDなどの音楽を流すこともできて、それもまたみんななかなかのセンスでやっていました。音量などのコントロールも(さすがミュージシャンが主宰しているせいか)ぴったりで、いい感じです。

2回の参加の中で、印象に残った人を少し紹介します。祖父がそこで戦死したという硫黄島(小笠原群島の南、火山列島にある島)に遺族の一人として招待されたのを機会に見聞(お参り)してきたという男の子の話。今は無人島となり、一般の人は行くことができないし交通の手段もない硫黄島。草木茂る荒々しい自然の中に、戦争中キッチンとして使われていた場所に置かれていたむき出しの大鍋、繁茂する雑草。お祖父さんは食料班だったそうでその大鍋のそばにまつられていたそうです。

カセットかMDをテーブルに置いて、自分でスタートボタンを押して、不思議なふしまわしの歌のようなものをうたった女性がいました。たしか歌詞はありません、と言っていたような気がするのですが、途中から不思議なことばのようなもので歌われていた記憶があります。その人は前回も今回も着物すがたで、とくに今回は夏の涼やかな着物をしゃきっと着ていました。若い人です。

主宰者のひとり、青柳拓次さんのリーディングも聞くことができました。毎回なにか読まれるそうです。今回はアフォリズム(箴言、金言)集のような本からの朗読でした。「日常の哲学のようなものとして」と紹介していました。またもうひとりの主宰者・山崎円城さんは、日本国憲法の本から前文と憲法9条の部分を簡単な解説と私感をまじえながら朗読。こういうものも違和感なくリーディングの中にまじっています。

さっき街で知り合った人に連れられて来ました、という人もいました。3時間前まではBookwormの存在自体知らなかったわたしが、こうしてマイクの前でしゃべっています。みんなの読むのを聞いていたら、たまらなく参加したくなりました、この次にはなにか用意してきて読みます。とそれだけ言って席にもどりました。

ラップをやります、といった三人組の男の子たち。おもちゃの楽器+電子パーカッション(というのでしょうか?)をバックに、人生というものについて一節二節。なかなかユニークでした。アフリカ系アメリカンたちがよくやるようなリズムやスタイルを真似したものではなく、ジャパニーズな語りのフラットなラップ(これが自分たちのラップということなんでしょう)。

こんな調子で日曜の午後のイベントはたんたんと進んでいきます。何かを発表するというような気負いはあまりなくて、自分の好きなものをみんなとシェアする、シェアしたい、という感覚でしょうか。

聞いた話では、主宰者の方は、Bookwormは10年、20年つづけて初めて意味があるイベントと言っているそうです。参加者もスタート以来の人、3年くらいの人、と長く来ている人がけっこういるようでした。かといって、なれ合い仲間うちコミュニティ的な感じもしないので、初めての人も楽しめるものです。そのあたりにも主宰者のセンスが効いているのだと思います。

2004年6月1日午前11時40分
大黒和恵・editor@happano.org

BOOKWORM サイト:
http://www.bookwormweb.net/



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