156 × 234mm、144頁
ペーパーバック(kindle版 ¥500もあります)
税込価格:¥1,540 2023年3月、葉っぱの坑夫から発売
*2024年3月に価格改定をしました。本体1,200円→1,400円
小さなラヴェルの小さな物語
テキスト:コンガー・ビーズリー Jr. 絵:たにこのみ
訳:だいこくかずえ デザイン:⻆谷 慶
フランスの偉大な作曲家モーリス・ラヴェルを題材にした、楽しくて心温まるファンタジー小説です。
身長30cmの小さなモーリス・ラヴェルはある日、友だちの家のパーティでアネットという才能豊かな女の子と出会います。アネットは唾でさまざまな形、大きさ、模様の泡を吹くことができました。すっかり感動したモーリスは、スペインに行きたいという夢を話します。するとアネットは「手伝えると思う」と言うのです。アネットの口から吐き出された大きな泡、その中に収まってモーリスはスペインに旅立ちます。
モーリスを乗せた泡はプカリプカリとピレネー山脈の方へと飛んでいきます。そして.....一旦は地上に降りることになるモーリスですが、そのあとには、たくさんの冒険(バイオレンスも少し!)があり、友だちとなるハトのアルトー、カメのヤンニ、ネズミのイブといった動物たちとの遭遇、さらにはモーリスの真の理解者となる一人の女性と出会うことになります。
モーリスは無事、スペインへたどり着けるのでしょうか。その前にバスクの村で母親と、何年かぶりに会うことができるのでしょうか。
絵描きのたにこのみが描き下ろしたブッ飛びアートが、このお話をさらに楽しく生き生きワクワクするものにしています。
2021年8月〜2022年3月、葉っぱの坑夫のサイトで公開した同名の作品を再編集してペーパーバックと電子書籍にしたものです。ウェブ版はこちらです。
●たにこのみ「小さなラヴェルの小さな物語」原画展 dessin | デッサン(東京)
2024年1月19日(金)〜2月4日(日)
●たにこのみ「小さなラヴェルの小さな物語」原画展 ホホホ座 浄土寺店(京都)
2023年5月14日(日)〜5月28日(日) 詳細はこちら
たにこのみ(絵)
絵描き。展覧会を中心に活動中。平面作品・立体・似顔絵など様々な表現方法で制作する。素材や色や線、かたちから浮かぶイメージと、日々の生活の中から生まれるイメージや想像が交錯し、キャラクターや、どこかすっ飛んだ愛嬌ある世界を描く。他に、pict/oubon(edition nord)より、ドローイング作品集「ええのん」を出版、佐々木伶1stアルバム「ワンマンライフ」アートワークの担当など。
Instagram:@konomitani Twitter:@tanikonomi
⻆谷慶(デザイン)2015年よりデザインオフィス「Su-」を兵庫県芦屋川に開設。グラフィックデザイン を軸に活動中。
コンガー・ビーズリー Jr.(著者)
アメリカの作家(1940〜2016年)。ミズーリ州セントジョセフに生まれる。8歳のとき、地元の新聞に第二次大戦について書いた詩が掲載される。生涯で19冊のフィクションに加え、ノンフィクションやエッセイ、詩集を複数出版。ラコタの人々について書いたノンフィクションで、Spur Awardを受賞するなど受賞歴も多い。パタゴニアからヒマラヤまで世界中を旅し、それを題材に本や記事を数多く書いてきた。晩年、パーキンソン病と認知症を患いながらも、2冊の本を出版した。その内の一つが本書 "A Little Story about Maurice Ravel”(2015年)である。
だいこくかずえ(翻訳)
非営利パブリッシャー、Web Press葉っぱの坑夫(2000年4月〜)の創設エディター、翻訳者。国内外の協力者、作家たちとプロジェクトを組み、ウェブ作品、紙の本、電子書籍を制作している。
もくじ
著者からひとこと
ラスパイユ大通り 〜 紙人形
ひきこもりモーリス〜泡ふきアネット
いざ、スペインへ! 〜 いたちの襲撃
ハトのアルトー ~ 歌うたいモーリス
誘拐事件 ~ ネズミとの決闘
海賊船~三毛猫ムース
ルフェーブル船長 ~ 逃走
亡き王女のためのパヴァーヌ 〜 救世主ヤンニ
決死の川渡り~キャサリンとの出会い
ヤンニの子供時代~恋と友情のはざまで
別れ~定期船に乗って
危機一髪~再会
マエストロ歓迎 ~ 丘の上のホテル
インタビュー
旅は道連れ ~ 初飛行
長い昼寝 ~ 牛車に乗ってバスクの村へ
著者紹介
訳者・エディターによるあとがき
...... パリのラスパイユ大通りにあるレストランで、いっしょにランチを食べているとき、バザンのポケットに落ちたのです。ちょっとトイレへと席を立ったとき、ラヴェルはスプーンにつまづいて、バザンのレインコートのポケットに真っ逆さまに飛び込みました。
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アネットの端正な顔が赤く染まりました。「ええと、それは......わたし......わたしはこんな才能が......どこからやってきたかわかりませんけど......」 アネットは不安げに指をからみ合わせます。「口から大きな泡を出すことができるんです」
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モーリスは汚れたツイードのジャケットの襟をただし、何とか首にぶら下がっているネクタイを結び直しました。パリにいたとき、モーリスはいつも細心の注意をはらっておしゃれをしていました。フランスで2度、一流ファッション誌のベストドレッサーに選ばれたほどです。